音のない世界
普段聞きなれている音、生活音、雑音、騒音などなど聞きたくなくても聞こえてくるいろんな音に私たちはかこまれています。
しかし世の中にはそうした音を聞くことのできない聴覚障害をもった人が全国で約35万人、障害者手帳を発行されていない難聴者を含めると600万人ともいわれています。
そうした「音」を聞き取れない人にとって普段何気なく暮らすことの難しさ、仕事を続けることの困難など健常者には想像できない苦労があることを、ある映画を見て認識させられました。
全国ろうあ連盟設立60周年を記念して作られた映画「ゆずり葉」が、全国各地で上映されています。
ちょうど自宅近くの公会堂で上映される、というので見に行きました。
差別を受ける聴覚障害者の自立、権利を獲得するための運動に没頭する主人公と、彼に惹かれる健常者との恋を軸に物語は描かれています。
映画は全編セリフや効果音が字幕で上映されます。
手話を理解できない私にも、聴覚障害の方たちにも必要な字幕は、他の劇場用映画ではなかなかお目にかかることができません。
主人公がいつも洋画ばかりを見ているのは「字幕がついているから」で、日本映画を楽しめないという二人を繋ぐエピソードもそうした事実を教えてくれました。
映画の上映のあと、拍手が起こりました。しかしそれは音のない拍手でした。
観客の多くが両手を頭上にあげて手を振っていました。音はしないけれど頭上で懸命に振られる手や指、体、表情といった表現によって思いが伝わるのですね。
主人公と恋人、そして時代が変わり健常者と対等に生きようと葛藤する若者と、その恋人。時をこえた人々の点と線が映画のクライマックスで見事に結びつき、感動を与えます。
ぜひご鑑賞を。
(maipenlai)
